最後の「ありがとう」

ばあば

今日は満月。
月の満ち欠けや潮の満ち干きが人の生死に
関係があると聞いたことがある。

ばあばは三姉妹の末っ子。
すぐ上の94歳の姉は自宅近くの施設に入所していたが、コロナのこともあってなかなか面会に行けなかった。

一昨日の月曜日、叔母が危篤と聞いて、
ばあばが夕方ディサービスから帰るのを待って、義姉、おかめの3人で病院まで出かけた。
ばあばがショックを受けるといけないから
という義姉の気遣いで、ばあばには
「危篤」とは知らせなかった。

車中でばあばがふざけて、でもちょっと嬉しそうに、
「あんた、誰だね?って言わにゃあかなぁ?ずっと会ってにゃーし(ないし)。」
と車の中で何回か言っていた。

義姉が「もう高齢だし、寝てるかもしれないね、具合悪くても仕方ないね。」
と、ばあばのショックを和らげるように予防線の言葉かけをした。

面会は人数が限られているので、血の繋がらないおかめは車で待機することにした。

間もなくして、ばあばと義姉が戻ってきた。

叔母はやはり目を閉じたままで意識がなかったけれど、ばあばはしっかりした声で
呼びかけて、最後に「今までありがとう」
と手をさすってきたそうだ。

帰りの車の中のばあばはいつもと変わらない様子で、ちょっと冗談も言ったりして、何か“ 冴えている“ 感じがした。

そして·····

今朝早く叔母が亡くなったと連絡があった。

ばあばは叔母の訃報は知らされないまま
ディサービスに出かけた。

どのタイミングで知らせたらよいのか?
親孝行の姉弟が相談して決めるだろう。

90歳過ぎたばあばにとって姉の死がどれほどの痛手になるのかはわからない。
自らの死も含めて、姉に対するいろんな思いが湧いてくるのか·····

意識がなかったとしても、二人が対面して最後の「ありがとう」が言えたことで義姉もおかめもホッとした。
何か大事な役割が果たせたような気もした。

またねーーー(^_^)/~~~

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